最近は都道府県や市町村などの地方公共団体でもRPA導入が進んできたことで、これに関する記事やブログエントリーが増えてきています。
この記事を見て背筋が寒くなった方もいたのではないでしょうか。
「ロボット化された仕事、まさに普段の自分だ…」
そして、「自分もいずれロボットにとってかわられるのではないか」、という不安にかられた方もいるかもしれません。
上記のエントリーで記載した通り、RPAで大幅な自動化が実現したからといって、正社員は通常、いきなり解雇という憂き目に遭うことはありません。
正社員は一部の例外を除いて終身雇用というバリアに守られていて、「RPAで業務効率化できたからあなたクビね」とできないからです。
しかし、このバリアは結局「正直に言えば会社としては無理に雇いたくないんだけどね」というネガティブな側面を持ったものになるケースは往々にしてあり、配置転換や出向などで働く側としても決して幸せになれない可能性は非常に高いです。
RPAで雇用に直接打撃を受ける非正規雇用
当然、真っ先に自動化のダメージを受けるのはこのバリアを持っていない、派遣社員をはじめとした非正規雇用の方々です。
ロボットの登場で路頭に迷うのでは、と日頃不安な気持ちを持っている方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
「解雇」と「雇止め」
まず、言葉にすると当たり前のことですが、「解雇」と「雇止め」という異なる概念が存在しています。
解雇
雇用期間の途中にある社員(有期契約社員だけでなく、無期雇用も含む)の契約を、会社側から解除すること
雇止め
有期契約にある社員の契約を、終了時に更新しないこと
【解雇】RPAを理由に「解雇」は発生しない
社員を解雇するには、正社員かどうかなど関係なく、よほどの合理的な理由が必要となります。
具体的には、横領や不正行為など、悪意のある行為で会社に金銭的あるいは社会信用上の損害を与えた場合などです。
「能力不足による解雇」というのも存在はしますが、派遣先企業や派遣会社は契約した派遣社員に職場に適応するよう、教育する義務があります。
会社側も努力をしたけど、著しく低い業務パフォーマンスが一向に改善しない…。というときに初めて解雇を選択肢にあげられるレベルのものですし、選択肢に、といってもそこから解雇に相当する理由を明示的に用意しなければいけないですから、ハードルも非常に高いです。
ロボットより仕事が遅いので能力不足なんていうのは、人を解雇にする理由にはなりませんから、万が一解雇なんて言葉が出てきたら、まずは派遣元と相談し、派遣先への申し入れと解雇の撤回を求めましょう。
派遣社員の契約相手は派遣会社(派遣元)ということを忘れないで
もしも派遣会社側が派遣先との交渉を上手くまとめられず、派遣契約を途中解除されてしまっても、あなたと派遣会社(派遣元)との契約が終了になるわけではありません。
見出しの通り、派遣社員の契約している相手はあくまで派遣元の会社です。
派遣先との契約は、派遣会社が行っているのであり、派遣先と派遣社員が契約しているわけではありません。
そして、派遣先との契約が解除されたからと言って、派遣会社は派遣社員を解雇の理由とすることはできません。契約期間が満了するまでは、派遣元で雇用を続ける責任があります。
【雇止め】雇止めは阻止しにくいが、正当性判断を
期限のある契約を満了し、更新しない、というある種シンプルな話のため、RPAで業務工数削減が実現すれば、雇止めは避けて通る方が難しいです。
この事実、流れは変えられないものという認識を持って、どうやって環境に適応していくかを考えながら働いていく方が、これからの時代は賢明です。
とはいえ、雇止めが不当・違法になるケースも存在します。
詳細は以下の通りで、 厚生労働省「有期労働契約の締結、及び雇止めに関する基準について」で説明されています。
- 契約締結時の明示事項等
- 雇い止めの予告
- 雇い止めの理由明示
- 契約期間についての配慮
・契約書に更新条件が明記されているか
・契約満了の30日前まで(例外あり)に更新しない旨の通知を出したか
・契約を更新しない理由(契約期間の満了以外で)が明らかにされているか
といったあたりがポイントになってきます。
しかし、不当になるケースが存在するとはいえ、やはり企業側の目線で考えると雇止めを正当に運びやすいのは事実です。
・新システム(RPA)の導入により人的リソースを必要とする業務規模が縮小した、という明確な理由が立ちやすい
(=業務遂行能力など、曖昧になりがちで揉めやすい論点に持ち込む必要がない)
・RPAはスピードが利点とはいえ、30日前に雇い止め予告ができないことはない
正社員だって危機が迫っている人が多くいる環境になってきている環境ですから、生存のためのスキルが、より一層求められてきます。
次の記事で、RPA時代に生き残るためのスキルについても、考察してみたいと思います。