仕事柄、RPAの技術者を紹介したり、提案したりすることは非常に多いのですが、2017年後半あたりをピークに「RPA技術者不足」は解消に向かっているな、と感じています。
17年の末くらいだったと思いますけど、知り合いのWinActorのエンジニアで、1日に2つの現場回ったりして、1週間で7クライアントのロボット作成をしたとか言ってる人がいましたからね。
もう自分が何作ってるか分からなくなってるだろと。(実際そうだったでしょうね)
ブーム真っ最中は技術者の単金も高騰していた
そんな需要過多な状況だったので、当時はRPAを導入する側も、普通のプログラマ/エンジニアより割高な単金を提示されても受け入れてました。
※私見ですが、当時RPAは「通常のプログラムとは違う新技術、未知の領域のスキルだ」という身構えが需要サイドにもあったりして、そもそもプログラマの単金と比較されないケースもあったかと思います
RPAエンジニアの求人を調べてみた
いまRPAの技術者ってどれぐらいの待遇を受けられるのかなと思って、興味本位で調べてみました。
調べたといっても、Googleで「RPAエンジニア 求人」とかで検索かけるだけなんですけど。
で、パッと目に飛び込んできた案件が以下のような感じ。
(別にどこか特定の会社がって話をしたいわけじゃないので、あくまで参考での記載です)
- 年間400万円
- 時給2,000円
- 年収300万〜600万
- etc
もちろんもっと高額な募集もあるんですけど、350万〜800万みたいな幅の提示なわけで、こういうのって実際に800万で取ることなんてほぼないわけですよ。
700万〜みたいなのも稀にあるにはあるけど、これは業務内容を見ると「RPA導入ガイドラインの策定」とか、エンジニアではなくほぼコンサルタントの募集ですよね。コンサルの求人としてみるなら特段嬉しい待遇でもない。「残業代込み」とか普通に書かれてるし。
ざっと見回した感じ非正規であれば時給2,000円台前半が相場、1,800円が最低ラインのようです。正社員だと400万〜500万台。
上記の記事によれば、Javaエンジニアの年収が平均500万くらいと言っていますから、残念ながらRPAが強力な付加価値にはなれていないということが伺えます。
RPAが良くも悪くもしっかり浸透している
こういうのを見て、ああ、RPAのスキルって、プログラム言語のように市民権を得てきているんだな、という前向きな気持ちよりは、もはやRPAスキルは給料を押し上げるものではなく、仕事を失わないための一手段になりつつあるというのを感じてしまって少しショックでした。
「なりつつある」なんていう表現でぼやかすのもよくないんでしょうね。
RPAって新しいものに慎重な日本人にしては信じられないスピードで拡大しましたが、それに合わせるように、スキルへの対価も急速にシュリンクしちゃったんだなと。
しかも以下の記事でも触れたように、RPAってそもそも個人のためには学習環境がまだ整ってないんですよ。(UiPathなど例外はあります)
研修なんかも企業向けの価格設定が多いですし。
なのに技術者の認定資格とかができてきて、人材の流動性を強めるような環境だけは整ってきちゃって、ヒューマンコストはダウンしていく。
RPA 技術者検定 | WINACTOR | NTT DATA
※技術者検定は転職のためという側面もゼロではないと思いますが、クライアントに対するエンジニアとしてのスキル証明という面で非常に役に立つものです
状況を前向きに捉える
嘆くような書き方をしてしまいましたが、逆に(無理矢理前向きに)言えば、RPAは基本的にプログラミング言語より習得は早いものですから、学習する環境さえあれば、比較的短期間の訓練でJava等のエンジニアに近い給与を得られるチャンスがあるということでもあります。
学習する環境さえあれば、ね・・・。
(そういう点では、UiPathの個人向けのツール無償開放は素晴らしい施策ですね)
ITに限らず技術に対する対価が支払われにくいという日本の性質が存分に発揮されてしまっていますが、人によっては安くて早い収入アップの選択肢を得られるということもあり得るよ、という希望も見出していきたいですね。