先日はてなブログ内でもRPAに関するエントリーが出ており、拝読させていただきました。
orangeitemsさんの見解は正しく、RPA畑の人間からしても共感できる内容です。
やはりRPAが世に与える影響は不安な方も多いのだろうと思い、この業界で自動化に携わり、提案をしている立場から、RPA時代の生き残り方について、書いてみたいと思います。
- これからの時代のルーチンをこなす人員の生存競争は厳しい
- 大企業正社員は、今まで通りではいかなくなる可能性を念頭に
- 中小企業も安泰ではない:RPAはどんどん安くなる
- RPA時代に正社員が生き残るには
- RPA時代に正社員が生き残るのに必ずしもエンジニアになる必要はない
- とはいえ生き残れるのは一握り
これからの時代のルーチンをこなす人員の生存競争は厳しい
先に結論になることを書いておきますが、残念ながら、RPAで事務要員が削減される流れ自体は変わりませんし、止まりません。
厳しい言い方をしますが、そもそも、ルーチンワーカーは遅かれ早かれ淘汰されるものです。
たまたまその決定打となった手段がRPAだっただけ、平成の終わりのこの時期だっただけです。
むしろよく保った方ではないかとすら思います。
そして、貴方がそれでもあくまで事務要員として生き残りたいというのであれば、その競争はとても厳しいものになります、ということを書いていきます。
「これだけやっていればOK」というような甘いアドバイスを期待していたのであれば、見当違いになるかと思います。
大企業正社員は、今まで通りではいかなくなる可能性を念頭に
ロボットによりどんどん業務の自動化が進められる時代、正社員ですら油断できない時代がやってきています。
「やってきている」というのは、「すぐそこまで」ではなく、「もうすでに」という意味で、です。
「終身雇用」という単語は、日本の労働環境の中で、よく成長や革新を妨げている悪いものだ、という風に言われることがとても多いです。
これは多くの側面で正しいと思うけれど、この制度の存在に助けられる人が、安心する場面が、これからより、増えていきます。
「ロボットで自動化が進められたからあなたはクビです」なんてことができないですから。
(外資やスタートアップなどで例外はあるでしょうけれど)
あなたが社内において「ルーチンワーカー」であるのなら、
- 社内での(その人にとっては重大な)配置転換
- グループ内への出向、転籍
- 上記を受けての転職
というのは、常に念頭において、働かねばなりません。
見出しで「大企業」と前置きしたのは、RPAの導入が、特に大企業ではスタートライン自体が早いことと、RPA導入にしっかりコストをかけて、劇的な成果を早期に挙げやすいことから、特にこれらの危険性が高まっているためです。
中小企業も安泰ではない:RPAはどんどん安くなる
前述の通り、RPAで選考して成果を挙げているのは基本的に大企業です。
RPAの導入コストはライトなもので年2桁万円後半〜というのが相場で、中小企業にとっては、まだ割高に感じる場面が多いものになっています。
(実際、「えっ、安いって聞いてたのに高!」って言われることもまだあります)
もっと安いものもありますが、懸念になっている「人減らし」に直結する成果を出せるものは少ないです。
ただ、RPA市場の成長スピードは凄まじく、ツールが安価になって、中小企業の手に届く時代も、すぐそこまできていると認識を持つべきです。
少し前の記事ですが、RPAは既に「幻滅期」に入っていると言われています。
簡単に言うと、「RPAってすごいらしいよ」という噂が広まりきって、「RPA以外と難しいね」というフェーズになっています。
(個人的な見解としては、言うほど幻滅はされていないと思いますが)
このフェーズを抜けると、「当たり前の存在」になってきて、中小企業や個人などの手にもリーチするようになります。
ブームが始まってから2年足らずで幻滅期に入っていますし、市場スピードは相変わらず早いですから、2020年中には、「当たり前化」していると思った方がいいでしょう。
RPA時代に正社員が生き残るには
仕事を奪われる、配置を変えられるということを、指を咥えて見ているだけであれば、いずれ貴方は不要になってしまいます。
ロボットに仕事を奪われたくなければ、ロボットと共生することを目論まなければいけません。
より具体的に書くと、RPAの導入サイドに回る、という立ち回りが必要です。
そうはいっても、ロボットの構築なんてエンジニアじゃない自分にはできないよ、という方も多いと思います。
この反応は、「RPA導入サイドに回る=エンジニアとしてロボットを構築する」という思考の結びつきに起因していると思いますが、必ずしもそうである必要はありません。
RPA時代に正社員が生き残るのに必ずしもエンジニアになる必要はない
RPAは、現行の事務をロボットに置き換えることを原則としています。
少しテーマから外れてしまいますが、RPAを導入する際に、事務フローの抜本的な見直しも同時に、というやり方はあまり賢くありません。
「安い」と「早い」というRPAのメリットが大幅に損なわれてしまうためです。 www.rpahowto.com
そのため、ロボット構築を円滑に遂行するのには、エンジニアの他に現行事務を熟知している人が必須です。
よくRPAのセールスの場面では「業務マニュアルがあればロボット化できます」というんですが、実際には、マニュアルに書ききれていない細かな手順だったり、簡易な人間判断というのが、含まれていたりします。
そのため、ロボットの要件定義・設計段階と受け入れ試験においては、その業務を熟知している社員がマストになります。
また、ロボット導入後も、自動化対象システムの改修や業務手順の変更、あるいはロボットのトラブル時に手運用で対処することを考慮すると、事務の分かる人間を残しておく必要はあるということです。
とはいえ生き残れるのは一握り
ここまで読んで「結局ルーチンワーカーとしての生存競争は厳しいじゃないか・・・」と思ったかもしれませんが、その反応は正解です。
事務方の部署に何人か「事務の神」みたいな人が、どの組織にもいるんじゃないかと思います。
結局、そういう方が生き残っていくわけです。
そして、そこに少しでも近づいておかないと、淘汰される側になる危険性は高いよ、ということです。
繰り返しますが、RPAで事務要員が削減される流れ自体は変わりませんし、止まりません。
ルーチンワーカーは遅かれ早かれ淘汰されます。
自分のスキルに自信がないという方ほど、これからのキャリアの運び方を、しっかり考えなければ行けなくなっていくでしょう。
(よりRPAの影響を受ける派遣社員、契約社員についても、別記事で触れたいと思います)