アゲ出しLife

RPA、ときどき雑記

「RPA技術者」という職業がなくなる時代は割とすぐに来る

 

RPA求人の給料低くない?って記事を先日書いているんですが、やっぱりRPA技術者で食べていくのって長期的にできることじゃないなと、感じています。

www.rpahowto.com

 

 

 

自動化の主体は「業務を理解している人」

RPA技術者という職種を語る上で重要になるんですが、最も効率的に業務プロセスを自動化できるのは、「業務を理解している人」です。

RPAのロボット構築PJに関わったことがある人なら、誰もが「業務の担当者から対象業務の概要とフローの説明を受ける」というプロセスには関わったことがあるんじゃないですかね。

従来型のシステム開発でも、要件定義フェーズには「システム開発部門の人」と「業務部門の人」が同席して、それぞれの知見を合わせていくのが当然なので、あまり違和感はないかもしれません。

 

でも、RPAがいくらスピード開発できるといっても、業務をあまり(なんなら全く)知らない人が、マニュアルや説明を見聞きしただけでロボットを構築するというのは、多くの場合効率のいい開発ができないことが多いです。

 

↓こういう会話も高頻度で発生しているんじゃないでしょうか。

開発者「ここの手順って、○○の数値が持ってこれなかった場合はどう対応してますかね?」

とか、

業務担当者「説明できてなくてごめんなさい、こういう挙動になったら分岐させてください!」

とか・・・。

 

業務担当者が自分で自動化できれば一番早いのに…という最適解は、誰もが一度は心の中で考えるんじゃないかと。

これって、従来のシステム開発ではあまり出てこない発想だったと思うんですが、簡単さ、手軽さがRPAの長所であるが故に、辿りつく人も多いと思います。

 

実際、RPAベンダ側も「業務担当者が自動化を実装するのがベスト」って言ってます。 

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UiPath製品ロードマップ2018より

 

現在のRPA技術者の需要の背景

徐々に落ち着いてきていますが、2018年度前半くらいまでにかけてRPA技術者の需要は、取り合いと言われるまでに高まっており、実際に一時期は「ツール買ったけど技術者がいなくて作れないの!」という悩みを持っている企業も複数存在していました。

この事象の背景は、当然のことながら、RPAツールそのもの、そしてその先の自動化のニーズが急速に高まったためです。

 

 RPAが流行ってるらしい

⇒我が社もRPA入れよう

⇒作れる人がいません!

⇒外部の技術者に委託しよう!

 

があっちこっちで発生していたわけです。

そしてこれまた当然のことですが、こういう問題って、技術者が増えてくれば自ずと解消されます。

 

RPAは「当たり前化」していく

コモデティ化」という言葉もあるんですが、ちょっと使い方が違う気がしたので、あまりスマートな表現ではないんですが、「当たり前化」としました。

 

RPAは、そう遠くないうちに業務担当者でも、「当たり前に」扱えるものになっていきます。

今時「Excel使えます!」なんて言って高待遇求人に出会えるわけがないのと同じように。

なにより、RPAベンダーがそれを目指しています。

 

例えばBluePrismの場合。

www.excite.co.jp

「RPAはIT部門ではなく、ビジネス部門が主導していくということだ。ビジネス部門は、最前線でお客様の話を聞いて、問題を特定し、何を提供すべきかをわかっているので、ビジネス部門主導でなければならない。デジタル時代において、技術を生み出していくのは重要だ。どの会社でもアイデアを持った人がたくさんいる。その人に技術を提供することができれば、そのアイデアを実現することができる。企業は、そういった人の強みを自分たちの新しい競争に使うことができる。それがBlue Prismのミッションだ」(デイヴ・モス氏)

BluePrismは、先ほどのUiPathの「業務を理解している人こそが自動化を実装する最適な開発者です」と同様、やはり現場の部門に対してRPA、あるいはその先にあるAIやOCRなどの高度な技術を提供していくと言っています。

 

RPA界隈の中ではBluePrismって、難しめでコンサル主導じゃないと導入ハードルが高いというイメージが強い製品でしたが、こういったツールも、「誰もが扱えるRPA」を将来像に描いています。

 

UiPathも、昨年度のロードマップの中で、「短期で、容易に実現可能な良好なカスタマー・エクスペリエンス」を「アジリティ」と定義して、製品戦略の柱の一つにしています。

要するに、「早くて簡単なツールを目指します」と言っています。

 

この「アジリティ」実現のためのビジョンは下図の通り。

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UiPath製品ロードマップ2018より

図の中で言っていることとしては、↓をやっていきます、という感じ。

  • API連携の拡充(Oracle、Office、SAPなど)
  • 使いやすいライブラリの充実化
  • レーニングコンテンツの強化
  • 学習用のライセンスの無償提供
  • ユーザー向けコミュニティによるサポート

UiPathはもともとがデスクトップ利用型で、業務部門のユーザーも多い製品のため、「現場」を意識していることが伺えます。

 

 

そしてWinActorも、同様の思想を昨年度のロードマップで打ち出しています。

winactor.com

 

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ホワイトペーパー(WinActor製品ロードマップ) より

「自分で作って、自分で使う」を現在地に、「ロボットが当たり前の存在」となる未来を描いています。

 

 

RPAがExcelのように「当たり前」の存在になると、「RPA技術者」という職業はなくなってくるでしょう。

Excel技術者」という職業が存在しないように。

いるとしても、社内に1人はいる「マクロおじさん」のような、内輪な存在になってくるかもしれません。

※BPRとかのコンサル技術を組み合わせられるなら、話は別ですが

 

 

自動化の果て

余談ですが、UFJの本部系の部門にいる知り合いが去年、「今はRPAで自分をクビにするためのロボットを作ってます」と皮肉交じりに話していました。

「RPAで余剰化した人員をカット、異動、転籍」する流れの、「余剰化した人員」には、RPAを開発している要員も含まれているというのは、あまりにも皮肉な流れですね。

 

日経のUFJの記事を見て、その知り合いが結局どうなったのか、聞いてみるのもちょっと憚られています。。。

www.nikkei.com