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RPA、ときどき雑記

RPAベンダが抱えるビジネス上の欠点・弱点と恐怖

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www.orangeitems.com

RPAによる業務効率化のインパクトは、その実績の数字を持って、多くの人に感嘆、感動、場合によっては恐怖を与え続けています。

仕事でRPAをやっていると「儲かっていいですね」とか、「将来バラ色ですね」なんてことを言われることもありますが、私は全くそんなこと感じていません。

 

今でこそ多くのツールベンダが激しくしのぎを削っているRPA市場ですが、そのビジネスモデルは欠点を抱えているため、「バラ色」と言い切ることはできないんじゃないかと思っています。

 

RPAはOSに依存したビジネスモデル

OS(Windows)上で人間が実施する操作をロボットに置き換える、というのがRPAの本質であり、自動化と言っても結局ロボットがOSを操作していることに変わりはありません。

即ち、OSが変われば作成したロボットのメンテナンスが必要になります。最悪の場合、ゼロから作り直しということも起こり得ます。

 

例:Windows7上のタイマーを読み込んで数値を取得する操作が、OSをWindows10に更改したことでタイマーの仕様が大きく変わり、読み込めなくなった

 

RPAの導入を検討している企業に提案に行くと、OSのバージョン変更時の対応については実際、よく聞かれます。

また、Windows7のサポートが2020年1月14日で終了することに伴い、現在多くの企業がWindows10への更改を実施しており、この更改に伴うロボットメンテナンスに関する相談も非常に多くなっています。

 

 

AIは、インテリジェンスを現状から「拡張」し、加速させるものであり、今はできていない「未知の領域」を開拓できるビジネスだと思います。

その一方でRPAは、前述のとおり人間からロボットへの現状の業務の「置き換え」ですから、置かれている環境が変われば、置き換えた先(=ロボット)も変えなければいけないのです。

 

極端な話ですが、MicroSoftがその気を出せば、RPAがほとんど動かくなったり、正常に動作しないようなOS更新もできてしまいます。

 

裾野が広がれば広がるほどメンテナンス対象も多くなり、かつそのメンテナンス頻度はOSの更新数に一致してしまう、というのは、ビジネスモデルとして美味しいわけがありません。

規模の大きくないRPA販売代理店であれば、メンテナンスでまたお仕事がもらえる、ということで悪くない話かもしれませんが、RPAベンダ(開発元)にとっては、OSとどうやって上手く付き合っていくかは、ビジネス展開における重要な問題です。

 

 

OSサイドの動きがRPAベンダ最大の脅威

ただ、真にRPAベンダが恐れているのは、OSの更新・変更ではないと思います。

最大の脅威は、MicroSoftが自身でRPAツールを開発すること(あるいは、MS

が1つのRPAツールを買収すること)に他なりません。

RPAの生殺与奪の権を握っているMSが、自分の環境で動くRPAツールを作成するのですから、挙動の懸念はありませんし、ユーザの信頼も違います。

争う土俵は自分のものですから、競合ツールを無価値化することだってできます。

 

ちなみに一応、MSには「Flow」というプロセスの自動化ツールはありますが、機能性・使い勝手の両面で、まだまだRPA市場を脅かすものではありません。

flow.microsoft.com

 

しかし、MS製の高機能なRPAツールが開発され、Officeのラインナップの一つとしてにでも組み込まれた日には、他のRPAツールは商売あがったり、でしょう。

 

RPAベンダとしてもこの脅威に気づいていないわけはないでしょうから、水面下では各ベンダがMSと提携するよう動いているのではないかと推測しています。

MSとしても、ゼロベースでツールを開発するより、ベンダを買収した方が効率的という判断もあるでしょう。

 

 

いずれにしても、MSがいつまでも適当にRPAベンダを泳がせておくとも思えませんので、そう遠くない将来、この動向には決着がつくのではないかと、個人で気には考えています。