【RPAとは?という方向け参考リンク】
今さら聞けないRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の基本 | AIとの違いやメリットを徹底解説 - RPA | ボクシルマガジン
マンガで解る!業務効率が激変するRPAとは | UiPath株式会社
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは?基本から導入の進め方までまとめて解説 | RPA 国内シェアNo.1 「WinActor(ウィンアクター)」|NTTデータ公式サイト
RPAがまだ定着していない分野向けにお話をした際、フリートークの時間に、一人の参加者の方とRPAというものの存在是非について少し議論しました。
先方も喧嘩をすることが目的ではないのでオブラートに包み、慎重に言葉を選んでくださいましたが、言いたいことを端的に表せば「あなた達はRPAという、雇用を奪い、失業を拡大させるような仕組みを広げようとしているんじゃないのか。」というところです。
双方ヒートアップしないよう議論を重ねた結果、「理解」はいただけましたが、「納得」まで得られたかは自信がなく、力不足を反省しています。
RPAは神?悪魔?
RPAは神でも悪魔でもなく、人間の行っていたルーチンワークをロボットに置き換える「ツール」です。
これには以上も以下もありません。
別の記事でも言っていますが、ルーチンワーカーは遅かれ早かれ、技術革新で淘汰されます。
そしてその大きな転換期が、RPAによってもたらされたに過ぎません。
仮にRPAブームが来なくても、数年のうち(どんなに遅くても10年以内)にはAIが本格的に世間に浸透します。
その暁には、ルーチンワーカーに限らず士業まで含めたより多くの職種で、激減した枠を争う椅子取りゲームが始まるというのは、あらゆるところで議論されている通りかと思います。
「システム」ってなんだっけ
今回の冒頭の話での議論には、システムというものの本質の捉え方が重要でした。
業務上利用されるシステムというものはRPAに限らず、根本的な目的としては、人間の作業を自動化・省力化を目的として存在しています。
手紙を郵送するリードタイムを待てないから、電子メールでやり取りする。
毎回メールに同じ宛先を大量に打ち込むのが面倒だから、メーリングリストに一本化する。
振込の度に銀行に足を運ぶ手間と待ち時間に堪えられないから、インターネットバンキングを利用する。
大量のクレジットカードや銀行口座、電子マネーの動きを把握するのが大変だからマネーフォワードに登録する。
そして、業務システムの利用上、繰り返しするだけの単純作業を人間にやらせるのはもったいないから、だけどシステム開発・改修はお金も時間もかかるから、RPAで自動化する。
本質的には、RPAが求められる背景は他のシステムと変わりはありません。
自動化、省力化という「目的」があり、その実現の「手段」として、他のシステムやツールと平行して、あるいはミックスして存在する、最新の選択肢の一つです。
ただそのもたらす効果がドラスティックであるために、「RPAの導入で○○銀行は××万時間削減!」などと良くも悪くも非常に目立つことになりました。
その結果、あたかも「雇用を奪う悪魔」であるかのように言う界隈が出てきてしまったんです。
(Excelのマクロや勘定奉行やSAPに向かって、「悪魔!悪魔!」と言ったりしませんよね)
そもそも、世界でもRPAは拡大している(しかも日本より先駆けて)わけですから、感情論でRPAを抑制するような流れになるなら、競争社会から取り残されるだけです。
「雇用が奪われるの可哀想!」というのは、資本社会の世界では残念ながら通用しません。
RPAが加速するDX
RPAは、1ツールでありながら、DXの実現に爆発的な推進力を与えています。
DX:デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation)=「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念
(私自身がその時代を経験していないのですが、)RPAによる劇的な働き方の変化は、PCやオフィスソフトの爆発的な普及によっていわゆる「お茶汲みOL」が激減したこと似た流れなのではないでしょうか。
以下のリンクのベストアンサーがとても分かりやすかったので、参考に貼っておきます。
昔のOLの仕事 お茶くみ・コピーの他には? -その昔、男女雇用機会均等- その他(ビジネス・キャリア) | 教えて!goo
結局どうしたらいいんだよって話
じゃあ結局「RPAという強者の台頭の中で、弱者たるルーチンワーカーは淘汰されるのを待てと言うのか」と言われそうなんですが、結論としては、何もしないでいるならば、YESです。
先日も引用させていただいた記事になってしまいますが、
>・正規職員が減り非正規職員が増える(現在)
>・繰り返し仕事がRPAに置き換えられる(近未来)
>・非正規職員の仕事が減る(将来)
というように、ルーチンワーカーが淘汰される流れは出来上がってしまっています。これだけは明確に認知すべきです。
「こうしろ」という答えを出せる人は存在しませんが、これから起こる流れを推測すると、ホワイトワーカーという働き方に対して、地形すら変わってしまうほどの大きな波が来ているわけですから、今後「波に乗る」「戦場を変える」というアクションを取る人が出てくることになります。
(「新しい波を作る」という選択肢もありますが、これができる人は最初から苦労しないので割愛します)
そして、このアクションはどれも、確実にハードなものにはなります。
資本主義の発達の中で「サラリーマン神話」も崩壊に向かっていますから、相応にタフな対応をしていかないと、呑まれてしまいます。
前者の波に乗る、というのは、すなわちロボットを構築する側に回る(RPAエンジニアになる)ということです。
2019/4/30追記 意見を変えるようですが、ロボットを構築する側に回るのも、「安パイ」とは言えなそうです…
以下の記事で過去に触れていますが、まずは個人が無償で試すことができる、かつ日本語対応しており、企業向けシェアも十分にあるUiPathあたりで、RPAにトライしてみるのがよいでしょう。
ちなみに以下のようなデメリットが存在すると考えられます。
【RPAエンジニアになることの課題・欠点】
・個人で体験、学習できる環境が十分に整っていない
・RPAを使えることが、高給取りになるためのスキル要素ではなくなってきている
・長期的にIT業界を見たとき、RPAも絶対的なツールではなくなる可能性がある
後者の「戦場を変える」ですが、これはさらに容易ではない選択肢です。
ブルーカラーへの「色替え」かフリーランスとして独立していくか、というのが分かりやすい選択肢でしょう。
色替えについては、事実として、「選ばなければ求人はある」というのは、以下のニュースの通りです。
※本当に理由が人手不足なのか、といった細かい追求は別の議論としてありますが
ただ、RPAで雇用の心配をするホワイトカラーの方にとって、カラーチェンジには抵抗があると推測されますから、望まないカラーチェンジになるケースも増えてくるのでしょう。
(このご時世、ホワイトもブルーも関係なくブラック企業は存在しますから、ホワイトが優れているとかブルーが劣るとか、そういう議論ではなく、働く方の持つ考え方として)
そしてあとは、フリーランスへの転身でしょうか。
こちらは、私がうだうだと述べるよりも、マナブさん(@manabubannai)のmanablogで、無料分だけでもかなりの量の情報が、非常に分かりやすくまとめられています。
具体的な実績もある方ですから、リンクでご紹介させていただきます。
※私自身も勉強させていただいています
RPAと異なり、プログラミングは個人が自宅で学習する土壌は十分に整っていますし、上記の記事以外にも、情報源も多く用意されていますから、ダメ元でも手を付けてみるのもいいと思います。
何より、面白い仕組みを思いついたときに自力でそれを形にできるというのは、とてつもない強みです。
ただ、この中でも「フリーランスで稼ぐのはそんなに簡単じゃないよ」とは明確に言われていますから、そのつもりで読んでくださいね。
(楽な方法があれば私も知りたいです)
【ブルーカラー職転身の課題・欠点】
・これまでのホワイトカラーの業務経歴を活かせない場面が多々出る
・経験の活かしにくさから、転身に強い抵抗感が出る人も多く、ポジティブなマインドセットをしにくい
・移民受け入れなどの政治的な動きに雇用、賃金が左右されやすい
【フリーランス転身の課題・欠点】
・RPAとは関係なくフリーランス志向や副業でクラウドソーシングを行う人は増加傾向にあるため競争が厳しく、特に最初は不安定
・スキルアップやキャリアプランを管理してくれる人がいないので、より自己管理が肝要になる
・税制などの社会上の仕組みも自身で把握または自身で税理士等と契約し、対応する必要がある
・与信などの面で不利になりやすい
まとめ
長々と書いてしまいましたが、RPAを悪魔呼ばわりして忌避することは、はっきり言えば思考停止による問題の先延ばしに過ぎませんし、結局それは自身の(ひいては日本の)競争力を停滞させることにつながります。
※誤解されるかもしれませんが、「猫も杓子もRPA」と言っている訳ではありません。RPAの「その先(=RPA活用ルールやAI時代の生き方)」も考え、見据えていく必要があります。
重要なのは、今起こっている流れを、押し寄せてくる波を正しく知覚し、自分にとって適切なアクションを模索することです。
一発で成功なんてほとんどの人はできませんから、RPAでもプログラミングでも、手を付けられるものから触れてみるべきでしょう。