アゲ出しLife

RPA、ときどき雑記

【初心者向け】OCRって何?苦手なことは?RPAとの関係は?

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RPAをやっていると、ある時点から、場合によっては最初から、避けて通れない道になるのが「書類のデータ化」即ち、OCRです。

今まで「OCR?なにそれ?」って感じだったのに、RPAに携わるようになってから急に使わなきゃいけなくなった!なんて方も多いのではないかと思います。

 

そして、RPAの普及に合わせるかのように、OCRも急激な進化を遂げています。

むしろ、歴史の長さを考えると、OCRの方が、近年の進歩の凄まじさは上でしょう。(起点をどこに置くかで変わりますが、日本では40年とか50年の歴史があると言われます)

 

この進化したOCRは、いわゆる「AI-OCR」として世間で注目されていますが、そもそもOCRってどういう技術なのか、どういう課題を持っている(いた)のかについて、解説していきたいと思います。

 

 

そもそもOCRって?

OCRはOptical character recognitionの略称で、日本語では光学文字認識と呼ばれます。(「OCR」という単語だけ覚えておけば大丈夫です)

要するに、紙に書かれた文字を電子データの文字列に起こしてくれるソフトです。

 

これがなければ、紙に書かれた情報は人間が全て手入力でシステムに登録することになります。

データ入力作業の業務負荷を劇的に軽減しているという点では、「自動化」を広義に捉えたとき、RPAの大先輩とも言えるかもしれません。

 

身近なOCR

まず、無意識に日常生活の中で接しているOCR技術を何点か紹介していきます。

銀行窓口の依頼書

ネットバンキングの普及や、決済・割り勘アプリの登場などによる送金手段の多様化で、最近は記入する機会がほとんどないと思いますが、銀行窓口の依頼書はOCR用の帳票です。

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枠の位置が決められており、1文字1枠で記入するようにできています。

この枠を、バックオフィス側でOCRソフトが読み取って電子データにしてくれることで、人力での入力作業を省力化しています。

  

QRコード

QRコードも、文字の読み取りではありませんが、画像を解析してデータを引っ張ってくる、OCRの一種です。

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ちなみに↑のコードを読み取ると・・・

 

 

このブログのTOPページに飛ばされます。

 

手書き入力パッド

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WindowsでもIMEパッドで、読み方の分からない字を手書きで文字入力することができますよね。

これもOCR技術の上に成り立っています。

 

 

マークシートOCRの仲間

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各種試験などでお馴染みの「マークシート」は「OMR(光学式マーク読み取り装置)」という、OCRの親戚の技術です。

OCRから見れば下位互換のようなものなので、OCRソフトの中にはマークシート読み取り機能も具備しているものは多いです。

 

OCRの読み取りに重要な要素

OCRは、読み取った画像を解析し、文字データに変換します。

正確に文字を読み取れるかどうかを影響する要素は、多岐に渡っていますが、特に大きいのは以下の3つでしょうか。

 

OCRの精度に大きく影響する要素

  1. WHAT:読み取り対象の記述方法(手書き/活字)

  2. WEHRE:読み取り対象の特定方法(座標指定/キーワード抽出)

  3. HOW:文字枠の囲い方(固定ピッチ/フリーピッチ)

他にも精度に影響を与える要素は色々とありますが、特に影響の大きな3要素について、それぞれ解説していきます。

 

読み取り精度影響要素① 「What」 手書きvs活字

読み取り対象が「手書き文字」か「活字」か、は読み取り結果の精度に非常に大きな影響を与えます。

 

言うまでもなく、活字の方が遥かに高い精度が出ます。

フォントによる若干の差異はありますが、基本的には1種類の文字に対して1つの形状が定まっているためです。

補足:読み取り精度をより高めるために、「OCR-B」というOCR専用のフォントも存在しています

 

これに対し手書きは、やはり人によってそれぞれの文字のクセがあるため、1つの文字でも実質、無限に文字パターンが存在してしまい、認識精度が極端に落ちてしまいます。

 

身近な例で挙げたWindowsの手書きパッドをイメージしてみましょう。

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「千」という文字を書いてみたつもりですが、第一候補に現れたのは「チ」ですね。

 

画像として捉えれば、ほとんど同じ形をしている文字なのに、書く人が違えば別の文字を意図して書いていた、ということもあり得るくらいですから、OCRで手書き文字を読み取る難易度はどうしても上がってしまいます。

(これを解決する「AI-OCR」については、次回のエントリーで触れていきます)

  

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読み取り精度影響要素② 「WHERE」 座標指定vsキーワード抽出

OCRに対して「画像のどこを読み取るか」 をどのように設定するかは非常に重要です。

基本形として多く用いられるのは、「読み取り範囲の座標を指定」するパターンです。

 

予め読み取る範囲を人間側で設定しておくので、スキャンで紙が大きくズレたといったことがなければ、欲しい情報をしっかり抽出してくれます。

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ただし、座標定義によるOCR様式が定まらない帳票に使えないという大きな弱点があります。

 

例えば、OCRと聞いて真っ先に試したくなるであろう請求書は、出してくる会社によって様式が異なります。

つまり、出してくる先によって請求額などの欲しい情報の書いてある位置がまちまちなので、座標定義が活かせないのです。

100種類あれば100の座標定義が必要ということでは、費用対効果は大きく損なわれてしまいます。

(取引先の上位3社だけで請求書の7割が占められてる、といったケースなら使う余地はありますが)

 

 

これを解決するもう一つの手法は「キーワード抽出」です。

 

例えば請求書であれば、読み取りたい情報は「請求額」などでしょう。

この場合は、「請求金額」「合計金額」などのキーワードを、OCRに紙全体から探してこい!と命令をすることになります。

欲しい情報はキーワードの近く(多くの場合はキーワードの右、そうでなければ下)に書かれていますから、そこを読み取りに行くわけです。

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帳票のフォーマットを問わないため「フリーフォーマットOCR」などと言われますが、画像全体からの言語解析は、技術的には容易ではありませんでした。

しかし、こういった技術も、昨今のAIの発達などにより対応する製品も出てきています。

個人レベルで最も身近なのは、MoneyForwardのレシート読み取り機能ではないでしょうか。

 

読み取り精度影響要素③ 「HOW」 固定ピッチvsフリーピッチ 

もう一つ重要なのが、各文字が枠で区切られているかです。

具体的には「1文字につき1枠」という風にボックスで区切られているかどうか、が重要になってきます。

 

「この枠の中にそれぞれ1文字ずつ入っているよ」

という前提で認識するのと、

「この枠の中に、何文字かわからないけど文字列が入ってくるよ」

という前提で認識するのでは、精度に差が出てきます。

 

OCRソフトが「どこまでが1つの文字か」を人間のように判断できないので、2つの文字をくっつけて1つの文字として読んでしまったり、逆に1つの文字を2つの文字に分解して読んでしまうためです。

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この「1つの枠に不特定多数の文字が入っている状態」をフリーピッチと呼びます。(「1つの枠に1つの文字」と区切られているのが「固定ピッチ」)

活字の場合1つ1つの文字の幅が(フォントによるが)一定ですが、人間の手書きだと特に誤認識しやすいです。

 

 

 その他の影響要素

■対象の文字種別(日本語/英語/数字/記号)

対象文字列は英数字か、日本語も混在するか、という事前設定も影響してきます。

例えば数字だけであれば、0~9の10種類の中から読み取り結果を導き出すので、手書きでもそれなりの精度が出たりします。

難しいのは「1」と「7」くらいですね。

 

英語が加わって「英数字」となった場合、「0(ゼロ)」「O(オー)」や「1(いち)」「I(アイ)」「l(エル)」も入ってくるので、活字でも誤認識する場合があります。

 

日本語が入ってきたらもう大変です。

1文字分の画像に対して、莫大な量の候補が挙がってきます。

OCR屋さんだって頑張っているので、活字であれば日本語でも高い精度は出せますが、やはり手書きだと、従来のOCRでは精度が落ちてしまいます。

 

■画像の精度

OCRは「画像」を「機械的に」認識していますから、汚い画像では上手く識別できません

 

光が入って白飛びしてしまったら、白くなった部分を文脈で補うなんてことはできませんし、逆に画像が暗すぎれば、影まで文字の一部として読み込んでしまうこともあります。

あるいは、紙を斜めにスキャンしてしまったために違う文字に見えてしまうということもありますし、枠外のサインや印鑑が読み取りエリアに食い込んできて、読み取り時に一緒に文字の一部とみなしてしまったりします。

補足:ソフトにより能力差はありますが、斜めになった画像や影を補正するような機能も存在しています

 

きれいな画像として、位置ズレなども抑えるためには、業務用のスキャナで読み取った方が好ましいです。 

 

 

RPAとOCRの親和性

RPAはあくまでシステムであり、扱うことができるのはアプリケーションと電子のデータです。

しかし、業務の現場でインプットとなるデータは、紙に打ち出されていることは少なくありません。

そのため、OCRで用意したデータをRPAでガンガン回していく、という超強力なタッグが成立します。

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大昔からあるOCRの技術に注目が集まってきているのは、読み取り技術の進歩も当然ありますが、RPAによる再評価もその背景にはあるのです。

 

でも今ってペーパーレスの時代じゃないの?

電子化が進んでる時代だから、今更紙の読み取りなんてニーズ少ないんじゃないの?という人もいるでしょう。

そうは言うんですけどね、やっぱり紙ってなくなってないんですよね。

ペーパーレス化の流れで電子化されたのって、社内会議どまりの企業が多いんじゃないでしょうか?

 

顧客対応窓口だと、申込書の記入に紙とタブレットを選べるところなんかも増えてきていますが、やはり紙はまだまだほとんどのところで健在ですよね。

 

紙じゃないと抵抗感を示す顧客が少なくない」というのは実際に窓口業務の設計に携わっている方から聞いたことがあります。

若い方ならそんなことはないんでしょうが、「電子媒体に個人情報を入力する=流出とかなんか怖い!」という心理が働いたりするのでしょう。

実際は紙に書いたものだって当然バックヤードで電子媒体に入力されてるわけですが…。

 

こういう話題だとなんとなく「これだから日本人は…」みたいな声も聞こえてきそうですが、UiPathとか海外製のRPAツールにもOCR機能を標準で持っていたりするわけですし、2018年にもなったところで、ExcelOCR機能が付く、なんてあたり、世界的にも馬鹿にできないトレンドと言えるかもしれませんね。

studio.uipath.com

www.gizmodo.jp

 

まとめ

従来のOCRは、銀行や役場など特定の業務においては有用だけれど、帳票のフォーマットが固定されていなければならない、手書きには弱いなどの観点から、導入するほどの高い精度を得られず、膨大なマンパワーをかけて対処するしかないケースも存在していました。

「枯れた技術」と見る界隈もあったように思います。

 

しかし、RPAの登場で活躍の場は明確に増加しており、AI技術による飛躍的な性能の進歩もあって、捲土重来、現在は高い注目を集めています。

このようなツールと上手く付き合うことで、「自動化ライフ」の楽しみや歓びも増してくるんじゃないでしょうか。

RPAと銀行業務、銀行を取り巻く環境を考える

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ここ数日でいくつか銀行のRPAに関する記事や調査などを、ニュースやTwitterで見て、少し前のUFJの本部人員削減記事をなぜか今更、思い出しました。

 

www.nikkei.com

メガバンクがRPAで定型業務を自動化して人員を削減っていうのは、既に日経でもガッツリ取り上げられている通りです。

 

思えば2~3年前に日本でRPAがブームになった時も、アーリーアダプターとして大きく取り上げられたのは銀行や保険会社など、金融業界が中心でした。

 

www.keyman.or.jp

日本生命のRPA「ロボ美ちゃん」の入社式が2016年の4月です。

入社式というイベントの前から、PJ自体は動いていたということですし、先見の明に感心しますね。

 

 

銀行業とRPA 

金融機関の業務とRPAが親和性が高いというのは、イメージしやすいかと思います。

定形事務の業務量が多い

公務員にも近いものがありますが、銀行は法規制の制約を多分に受ける業務ということもあり、顧客との窓口対応でも行内の稟議でも、膨大な量の定型書類・事務の処理に追われており、自動化の余地は元々大きかったと言えます。

 

横展開が容易

使用しているシステムが異なる、決裁ルールが違う等あるため、全く同じ処理とはいきませんが、実施している業務は基本的に同じものですから、他行の自動化の事例は非常に横展開がしやすく、初めて取り掛かる場合でも、候補案件が抽出しやすくなっています。

 

店舗数が多い

UFJを例にすれば、2018年3月末時点で833の支店があります。(海外支店を含む)

仮に支店の業務を週に1時間削減する処理が組めたとしたら、年末年始を考慮して1年を51週と考えて、1店舗当たり年51時間の削減になります。

これが833店舗分ですから、もうすでに4万2千時間以上の削減に成功したことになります。

メガバンクを引き合いにすると数値が大きくなりすぎますが、地銀でも数十~百超の店舗がありますから、やはり大きな効果は得やすくなっています。

 

 

自動化の余地が大きく、事例も得やすい、それに店舗数というボリュームを効かせることができると、RPAがズバッとはまる業種なのは間違いありません。

 

銀行を取り囲む過酷な環境

「定形事務が多い」というのも可哀想な側面もあります。

そもそも銀行は公務員とは異なり「営利組織」ですから、地場産業への貢献などのミッションはあれど、カネを稼がなければいけません。

むしろ、数字の達成への厳しさで言ったら、我々IT産業とかより億倍キツいでしょうね、金融畑は

※全然関係ないけれど、オロゴンさん(@orogongon)のTwitterはお金に関するライフハック情報に満ちていてオススメ

 

銀行だって脳死しながらルーチンワークをこなしているわけではなくて、利益を追求するために、事務の効率化を進める動きは当然やってます。

ただ、苦労して新システムの導入とか事務の見直しとかで業務工数を削減したところで、すぐに「新しい規制を導入しまーす!」「法改正で手続きが変わりまーす!」なんてお上から降ってくるわけで、事務に追われるスパイラルから抜け出す日なんてやってきません。

 

そうでなくても銀行を取り囲む環境って酷すぎるんですよね。

 日銀「マイナス金利継続!貸し渋らず市場にカネを回せ!」

って言われてるのに、スルガ銀行の不正融資なんかもあって、

 金融庁「その融資本当に適性なんか?もっとちゃんと審査しろ!」

ですからね。

 

挙句、Fintech等の新興サービスが「ウチなら銀行より簡単に資金調達できるよ!」といって融資先を奪っていったり。

(こういったサービスによる資金調達も全てが肯定的に受け取れるものではないですけど)

 

「じゃあカードローンの販売に注力しよう!」としたら「貸しすぎ!総量規制!!」で自主規制。

(そもそも当時のカードローン競争は異常でしたから、規制してしかるべきものと思っています)

 

喧しいお上に怒られながら、近隣の他行とただでさえ少ない顧客を取り合っているところに、融資だ送金だでFintechが更に市場を奪っていく。

上にも横にも斜めにも敵が多すぎる。

 

メガバンクの大規模人員削減に思うこと

三菱UFJ、本部人員を半減 営業などに異動 :日本経済新聞

上記は最初のリンクの再掲ですが、三菱UFJは、RPAを中心とした事務の効率化で莫大な事務工数(3,000人分)を削減し、本部の人員を営業や海外に回していく予定。

さらに、メガバンクと言えば1,000人規模の大量採用ですが、この採用数も半分近く減らしていくとのこと。

 

これを見ると「いよいよRPAが人の雇用を直接的に奪ってきたな」という感想は当然真っ先に出てくるんですが、反対の面もあるなと思っています。

 

RPAがやってきて「銀行が人を切る」より前に「人が銀行を切る」ということがそもそも起こっていたんですよね。

 

銀行員の転職が増えているというのも、今に始まった話でもなく、少なくとも1年以上前に以下のような記事が出たりしているわけです。

www.businessinsider.jp

www.msn.com

 

新卒就職ランキングも下がっていて、最新の結果では、メガバンクはTOP40に1行も入っていません。

5年前の調査なら、UFJの5位を最高に、みずほ、三井住友も20位以内には入っていたわけですから、かなり順位を落としています。

さらに後者の記事によれば、「敬遠したいランキング」の1位がメガバンク、3位が地銀・信金に入っている状況です。

news.careerconnection.jp

www.nikkei.com

 

 

前述のように、色々と言ってくる日銀や金融庁がいて、多くない顧客のパイを近隣の金融機関同士で奪い合い、更にFintech企業が市場を奪っていく。

「そもそも銀行員の仕事ってAIに置き換えられる部分も多いじゃん」という声もあり、「オワコン化」の声が日増しに強くなっているわけです。

 

その結果、人材が集まらない、あるいは流出している現状です。

 

銀行も企業ですから、単なるリストラだけでなく、将来に備えて「最小限の体制で回せる組織」を作っておかないといけない部分もあるんだろうなと、銀行の置かれた経営環境を思いながらしみじみ考えていました。

※「UFJのリストラはRPAのせいじゃない、RPAは悪くない!」という主張ではないです。私は「ルーチンワーカーは淘汰される」と考えています。

 

 

とはいえ、今回の人員削減施策で、UFJの現場が店舗も本部も大変なことになっていくのは目に見えていますし、さらなる離職の呼び水にもなるのは間違いないでしょう。

 

そして今後、RPAだけでなくAIがより本格的にビジネスに普及していけば、銀行以外の業種でも、大きな動きが増えていくと覚悟を持たねばなりませんね。

 

「RPAでやりきる病」にかかっていないか

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エンジニアって、技術やツールを探して組み合わせるのが大好きな人が多いですよね。

 

私も(そもそもエンジニアを名乗れないレベルだけど)そうで、プログラミングスキルが乏しいのも幸いして、何かを新しいことをやろうと思うと、まずはすでに実装されたものがネットに落ちていないか調べることから始めます。

私レベルが思いつくものなら既に誰かがツール化していたり、yahoo!の知恵袋とかでも「こういうことやりたいんですけどマクロが上手く組めません!」という相談に対して神が降りて「このコードを組み込んでみてください」とか言って出来上がったスクリプトを貼り付けていたり。

ちょっと頑張ってググるだけで、答えがザラに落ちている。

本当に必要なものならシェアソフトを買うこともしますが、このあたりはやりたいことと、自分で作る手間のトレードオフ

その結果買ったまとめサイトの自動化ツールで全然儲けられなかったこともありました・・・。

 

 

RPAでやりきる病

「お前なんかに言われなくても、普通エンジニアはそうするだろ」という声はごもっともなんですが、時々、RPAというツールに「捕らわれてしまっている」人に出会います。

「あなたのスキルなら、その部分はRPAにやらせなくても、マクロを書いてRPAに組み込んだ方が早くない?」という作業も、なんとかRPAでEXCELを操作し切ろうと努力する、みたいな感じに。

 

失礼を承知で書くと、優秀で、愚直で不器用なエンジニアさんも、周りを見回すと少なくないんじゃないでしょうか。

 

特にRPAは、システムtoシステムの「繋ぎ」の作業が非常に得意で、操作できるソフトも多くて守備範囲がべらぼうに広い万能ツールです。

そのため、普段は決して不器用なタイプでない方も、「RPAツールだけで自動化を実装しきる」という謎の縛りを無意識のうちに自分に課してしまっていることがあるんじゃないかと思います。

 

ゴールへの経路を意識する

RPAツールは、Excelマクロやスクリプトの呼び出しなどは、基本機能で具備していることがほとんどですし、それ以外のアプリを呼び出す機能も、普通は有しています。

※ちょっと関係ない話ですが、最近は、OracleやSAPなどの有力ツールとシームレスに連携するコネクタを設けている、あるいは設ける予定のツールも増えています。

cloud.watch.impress.co.jp

 

一部の処理にはマクロやスクリプトを組んで、ロボットのパーツとしてに組み込む、という非常に簡単で当たり前な話ですが、「自動化の実装」というゴールに最短経路で辿りつくアプローチは他にないか、というのは常に自問しながら構築を進めるという意識は、RPAをやっていく上で忘れないようにすると、生産性をアップさせるパスが見つかるかもしれません。

※もちろん、RPAで苦労してやりきることができればノウハウとして後々に生きてきますから、無駄ではないです

 

「RPA技術者」という職業がなくなる時代は割とすぐに来る

 

RPA求人の給料低くない?って記事を先日書いているんですが、やっぱりRPA技術者で食べていくのって長期的にできることじゃないなと、感じています。

www.rpahowto.com

 

 

 

自動化の主体は「業務を理解している人」

RPA技術者という職種を語る上で重要になるんですが、最も効率的に業務プロセスを自動化できるのは、「業務を理解している人」です。

RPAのロボット構築PJに関わったことがある人なら、誰もが「業務の担当者から対象業務の概要とフローの説明を受ける」というプロセスには関わったことがあるんじゃないですかね。

従来型のシステム開発でも、要件定義フェーズには「システム開発部門の人」と「業務部門の人」が同席して、それぞれの知見を合わせていくのが当然なので、あまり違和感はないかもしれません。

 

でも、RPAがいくらスピード開発できるといっても、業務をあまり(なんなら全く)知らない人が、マニュアルや説明を見聞きしただけでロボットを構築するというのは、多くの場合効率のいい開発ができないことが多いです。

 

↓こういう会話も高頻度で発生しているんじゃないでしょうか。

開発者「ここの手順って、○○の数値が持ってこれなかった場合はどう対応してますかね?」

とか、

業務担当者「説明できてなくてごめんなさい、こういう挙動になったら分岐させてください!」

とか・・・。

 

業務担当者が自分で自動化できれば一番早いのに…という最適解は、誰もが一度は心の中で考えるんじゃないかと。

これって、従来のシステム開発ではあまり出てこない発想だったと思うんですが、簡単さ、手軽さがRPAの長所であるが故に、辿りつく人も多いと思います。

 

実際、RPAベンダ側も「業務担当者が自動化を実装するのがベスト」って言ってます。 

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UiPath製品ロードマップ2018より

 

現在のRPA技術者の需要の背景

徐々に落ち着いてきていますが、2018年度前半くらいまでにかけてRPA技術者の需要は、取り合いと言われるまでに高まっており、実際に一時期は「ツール買ったけど技術者がいなくて作れないの!」という悩みを持っている企業も複数存在していました。

この事象の背景は、当然のことながら、RPAツールそのもの、そしてその先の自動化のニーズが急速に高まったためです。

 

 RPAが流行ってるらしい

⇒我が社もRPA入れよう

⇒作れる人がいません!

⇒外部の技術者に委託しよう!

 

があっちこっちで発生していたわけです。

そしてこれまた当然のことですが、こういう問題って、技術者が増えてくれば自ずと解消されます。

 

RPAは「当たり前化」していく

コモデティ化」という言葉もあるんですが、ちょっと使い方が違う気がしたので、あまりスマートな表現ではないんですが、「当たり前化」としました。

 

RPAは、そう遠くないうちに業務担当者でも、「当たり前に」扱えるものになっていきます。

今時「Excel使えます!」なんて言って高待遇求人に出会えるわけがないのと同じように。

なにより、RPAベンダーがそれを目指しています。

 

例えばBluePrismの場合。

www.excite.co.jp

「RPAはIT部門ではなく、ビジネス部門が主導していくということだ。ビジネス部門は、最前線でお客様の話を聞いて、問題を特定し、何を提供すべきかをわかっているので、ビジネス部門主導でなければならない。デジタル時代において、技術を生み出していくのは重要だ。どの会社でもアイデアを持った人がたくさんいる。その人に技術を提供することができれば、そのアイデアを実現することができる。企業は、そういった人の強みを自分たちの新しい競争に使うことができる。それがBlue Prismのミッションだ」(デイヴ・モス氏)

BluePrismは、先ほどのUiPathの「業務を理解している人こそが自動化を実装する最適な開発者です」と同様、やはり現場の部門に対してRPA、あるいはその先にあるAIやOCRなどの高度な技術を提供していくと言っています。

 

RPA界隈の中ではBluePrismって、難しめでコンサル主導じゃないと導入ハードルが高いというイメージが強い製品でしたが、こういったツールも、「誰もが扱えるRPA」を将来像に描いています。

 

UiPathも、昨年度のロードマップの中で、「短期で、容易に実現可能な良好なカスタマー・エクスペリエンス」を「アジリティ」と定義して、製品戦略の柱の一つにしています。

要するに、「早くて簡単なツールを目指します」と言っています。

 

この「アジリティ」実現のためのビジョンは下図の通り。

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UiPath製品ロードマップ2018より

図の中で言っていることとしては、↓をやっていきます、という感じ。

  • API連携の拡充(Oracle、Office、SAPなど)
  • 使いやすいライブラリの充実化
  • レーニングコンテンツの強化
  • 学習用のライセンスの無償提供
  • ユーザー向けコミュニティによるサポート

UiPathはもともとがデスクトップ利用型で、業務部門のユーザーも多い製品のため、「現場」を意識していることが伺えます。

 

 

そしてWinActorも、同様の思想を昨年度のロードマップで打ち出しています。

winactor.com

 

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ホワイトペーパー(WinActor製品ロードマップ) より

「自分で作って、自分で使う」を現在地に、「ロボットが当たり前の存在」となる未来を描いています。

 

 

RPAがExcelのように「当たり前」の存在になると、「RPA技術者」という職業はなくなってくるでしょう。

Excel技術者」という職業が存在しないように。

いるとしても、社内に1人はいる「マクロおじさん」のような、内輪な存在になってくるかもしれません。

※BPRとかのコンサル技術を組み合わせられるなら、話は別ですが

 

 

自動化の果て

余談ですが、UFJの本部系の部門にいる知り合いが去年、「今はRPAで自分をクビにするためのロボットを作ってます」と皮肉交じりに話していました。

「RPAで余剰化した人員をカット、異動、転籍」する流れの、「余剰化した人員」には、RPAを開発している要員も含まれているというのは、あまりにも皮肉な流れですね。

 

日経のUFJの記事を見て、その知り合いが結局どうなったのか、聞いてみるのもちょっと憚られています。。。

www.nikkei.com

 

【RPA書籍レビュー】日経ムック RPA ホワイトカラー革命:読む価値アリ(注意事項もアリ)

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先日、日経からRPAのムックが刊行されました。

 その名も「RPA ホワイトカラー革命」、ちょっと仰々しくめ目につきます。

表紙の白い窓の集合体も脳ミソに見えてAIとかも意識しているのかなと思えます。

少し積んでいた時間がありましたが、読み終えたので感想を。

結論から言うと「読む価値がある書籍。でも、書籍のスタンスは事前に把握しておくべき。」です。

 

 

Amazonで部門ランキング1位を獲得

 

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NTTデータ WinActor公式サイト(https://winactor.com/)より引用

1ヶ月くらい経った現在は上位に見当たりませんが、発売直後の瞬間最大風速とはいえAmazon1位も獲得した注目度の高い書籍です。

NTTデータの公式サイトでもアピールしてますね。


 

書籍のスタンスを理解して読もう

この本は「RPAのムック」であることに間違いはないんですが、注意すべきは、NTTデータ監修ということです。

NTTデータはWinActorのセラーとして力を発揮しているベンダーであり、RPAを解説しつつ、WinActor(あるいはその関連ツール)をアピールしたいという記事はちょくちょく挟まれています。

1ページ目はNTTアドバンステクノロジの見開き広告、最後のページはNTT東日本のAI-OCRの広告、そして裏表紙はNTTデータの広告と、NTTフルコース(笑)

これ以外にもWinActor代理店などの広告が多数出ているので、「WinActor陣営の本なんだな」という理解は持っておくと、不必要な誤解などを起こさずに読み進めていけます。

 

WinActorユーザー以外も読む価値はある

WinActorの本だ、と意識するといっても、別に身構えて読む必要はなく、「自分が使っているRPAツールでも同じことが言えるだろうか」と考えながら読んだり、もし異なるアプローチの話が書かれていれば、それこそ新しい観点を学ぶ機会と捉えれば、必ず気付きは得られる内容です。

AIとの組み合わせ、「IPA(Intelligent Process Automation)」への進化やOCRなど、「RPAを語る」のではなく、「RPAという切り口からビジネスを考える」という目線になっています。

 

また、複数のインタビュー、コラムが載っているんですが、これらも面白いです。

というのも、WebでRPAの記事とかを見ると、大体は「XXXコンサルティング社の偉い人」とかが多いんですが、このムックだと早稲田のビジネススクール国立情報学研究所の教授・准教授など、「RPA畑」でない人たちが「経営」や「労働」という切り口で話してくれていたりします。

最後のEpilogueのコラムなんかBI(ベーシックインカム)にまで話が及んでいて、さすがに飛躍してるだろとも思いましたが…(笑)

 

導入事例の分野が豊富

本書は5つの特集パート+広告特集(8社の代理店の広告記事)+Epilogueの構成になっており、そのうちPART4が「RPA導入の成功事例」としてユーザー企業のインタビュー記事が載っています。

具体的には以下の11社です。

  • 【1】イープラス:小さな成果"の素早い周知がスムーズな全社展開に貢献
  • 【2】JTBグループ(株式会社JTB):サポート窓口の明確化と成功例の周知で利用促進を図る
  • 【3】りらいあコミュニケーションズ:アウトソーシングのプロ"のスキルを発揮
  • 【4】AGC:「新しい価値を創造する」という目的の推進手段として活用
  • 【5】東京ガス:中央集権型でノウハウの共有とガバナンスなどを追求
  • 【6】京葉銀行:失敗を教訓に再トライ、人材有効活用の一翼を担う
  • 【7】ジェイシービー:システム連携や時限性のある業務にRPAを導入
  • 【8】つくば市役所:企業と共同研究でRPAに着手 他自治体への情報提供にも尽力
  • 【9】立命館大学ERP連携も含めた財務経理業務の効率化に成功
  • 【10】札幌東徳洲会病院:大病院の医療事務の効率化に活躍、人とロボットが連携
  • 【11】リンネット導入効果は働き方改革以外にも波及、新たなビジネスを創出

真っ先にRPAに飛びついた金融機関はもちろんのこと、サービス業、インフラ、メーカーに、自治体や教育機関医療機関と、RPAが「まだまだこれから」と思われている業態にまで広げてしっかり特集されています。

もちろん、各社の自動化事例も図で表現されてます。

 

前述のとおりWinActorの本なので、全てWinActorユーザーではありますが、このパートにおいてはツールの特性よりは

 ・RPA導入の背景

 ・導入内容(適用業務)

 ・得られた効果、起きた変化

という観点が重要になってきます。

「WinActorユーザーだから自分には参考にならないな」とは考えないでフラットに読むことをオススメします。

 

広告特集も幅広い

どうしても「広告特集」というと読む気が起きずに飛ばしてしまうこともあるかもしれませんが、この特集も馬鹿に出来ない内容です。

WinActor代理店8社それぞれへのインタビュー記事という構成で作成されていて、ここはやはり代理店の広告という位置づけではあるんですが、「RPA×○○」という統一されたテーマ設定で学べるようになっています。

具体的には以下の8テーマです。

  • RPA×教育
  • RPA×共用環境
  • RPA×導入支援
  • RPA×保守・運用
  • RPA×経理・人事ERP
  • RPA×紙文書データ化
  • RPA×AI-OCR
  • RPA×帳簿画像管理

各社が、このテーマの中で自社の商材についてアピールするんですが、他のコラムと同様に、参考知識として読むに足るものですので、勉強にはなるかと。

「自分はRPAの保守・運用に携わっているけど、それをサービス化している他社はどんなことやってるんだろう」という比較にも使えると思います。

※繰り返しになりますが、この広告特集にいるのは全てWinActor代理店企業ですから、その前提で読むことを推奨します

 

まとめ

これからもRPAに携わっていく予定のある方は、WinActorユーザーであるかどうかによらず、得られるもののある書籍になっています。

WinActorユーザーならなおさら。

 

自分の立ち位置と、この本のスタンスをしっかり意識して、どうやって自分のものにしていくか、を考えながら読むことを推奨します。

「RPAはノンコーディングで自動化可能!」←わかる 「だからプログラミングできない人でも大丈夫」←それは違う

人工ç¥è½, ã­ããã, Ai, Ki, ãã­ã°ã©ãã³ã°, ã³ã³ãã¥ã¼ã¿ã¼, ç°å¢

RPAを提案するときに、RPAはプログラミングできない人でも扱えます!ってアピールをする営業には、毎度のことながら呆れてます。

そして、こういう売り文句で採用いただいた案件は、後でお客様に叱られがち。

「簡単って言ってたのに全然できないんだけど」

「メンバーが立ち上がるまで、もうちょっとしっかりサポートしてよ」

 

叱られるだけならまだマシで、プロジェクトが途中で暗礁に乗り上げたりしたら目も当てられない。

※後述しますが、「プログラミングできない人でも~」と口にすることを須らくNGと言うわけじゃないです

 

 

「いやいやRPAはノンコーディングなんだから嘘じゃないでしょ」って声もあるかもしれない。

というか、必ずしも嘘じゃないためにこの方便がまかり通ってしまうのが、始末が悪い

 

確かに、コードを書かない=ifとかforとか、プログラミングの言語を知らなくても大丈夫、とは言えると思います。

でもそれってかなり表面的な部分を言及してるだけで、本格的にロボットを組み始めたときのことは全く考慮されてないんですよね。

 

 

RPAとプログラミング

自身でロボットを構築しているユーザーの方ならわかると思いますが、RPAって、守備範囲の広いマクロみたいものです。

それが、(ほとんどの人にとって)コードを書くよりも遥かに明快なGUIで提供されているから、分かりやすいし、作りやすい。

 

ただ、ロボットの構築・動作における根本的な原理は

Aの動作の次はBをしなさい。成功したらC、エラーになったらDしなさい。コピーした値は後で使うからEに格納しておきなさい

という具合に、プログラムと同様に、

  • 分岐する
  • 変数を扱う
  • モジュールを呼び出す

という動作が、まともな自動化処理を組むなら避けて通れません。

「中級レベルになってくるとこういうのも必要なんですよね」とフォローしてあげたいですが、これらができないと、初級のロボットですら満足に作れない。

 

RPAは、プログラムの「言語」に精通している必要はないけれど、論理構造の概念が身についていないと躓くようにはなっています。

 

その事実を知ってか知らずか、「プログラミングできなくても使えます!」なんて喧伝するのは、セールスとしてどうなんでしょう。

 

RPAを薦めるという立場で気を付けること

もしこの性質に気づいていないなら、自分でも分かっていないものを売っている残念な営業です。

気づいていて、後々困ったお客様からサポート案件を受注しようなんて腹なら、最低な営業です。

使いこなせるわけのない高齢者にパソコンやスマホを売りつけて、Googleのアカウント作成するだけでウン千円とかやってる悪質なPCショップと変わらないですね。

※最低な営業が頻発しているという話ではなく、私の知る限りほとんどの場合は売り手の思慮不足ですけど

 

ノンコーディングで自動化処理が組めます!」なら、ツールにはよりますが、嘘ではないです。

でも、ちゃんと「分岐とか変数で混乱するなら向かないですよ」というのは、導入後の相手のために、きちんと前置きしてあげることが重要。

 

「安くてすごい効果をもたらします!」

「とても簡単です!」

は、導入を迷うお客さんの背中を押すための営業上の殺し文句というのは言いやすいし、言いたくなるのもよく分かる。

でも、言い方を間違えると、後々クレームになって「自分を殺す」文句にもなり得るということを、肝に銘じていく必要がありますね。

 

これは、営業だけじゃなく、ユーザー企業内で社内の別部門にRPAを薦める場合も同じことが言えるので注意が必要です。

「簡単って言うからやったのに全然できないんだけど!」

からの

「せめて立ち上げの部分だけでも手伝ってよ!」

のコンボはとってもつながりやすいです。

(「立ち上げだけでも」がまた断りにくいし、一度受けちゃうと沼が深いことが多い…)

 

まとめ

RPAは「ノンコーディングで自動化できるもの」だが、それが「プログラミング知識不要」には直結しない、説明の仕方を間違えれば関係者みんな不幸になる。

「RPAが持つプログラミング的性質(分岐、変数、モジュール等)」を把握し、必要な素養についてはしっかり理解してもらった上で進める必要あり。

※「モジュール」はRPA製品によって「ライブラリ」「BOT」「アクティビティ」など表現が異なります

 

 

不必要な事務処理から労働者を開放するという「幸福」をもたらすのがRPAのはずですから、些細な言葉のミスで不幸にならないように進めたいですね。

自治体によるRPA導入補助金制度が始まり、RPAの裾野がさらに広がって行く

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1週間ほど前の話になってしまいますが、以下のようなニュースが出されていました。

project.nikkeibp.co.jp

 

どういう制度か

簡単にまとめると以下のような感じです。

  • 松山市内の中小企業に対し、RPAの導入費用の半額を市が補助(最大50万)
  • RPA経費はライセンス費用だけでなく導入支援や保守などの作業経費も可(ただしハードウェアなどは含まれない)
  • 補助対象のツールに指定はないが、この補助金に合わせてWinActorは特別料金プランを設けている

ちなみに松山市の制度説明のページはこちら。

www.city.matsuyama.ehime.jp

 

RPAは安くない?

RPAは「システム開発より早くて安いです!」を売りに爆発的な拡大を見せてきましたが、主要製品のライセンス料は、年額で2桁万円の後半くらいからにはなってきます。

2桁の後半、というのは、中小企業にとってはまだまだ費用負担の大きい製品です。

大企業のグループ会社であれば、本社が大規模調達で安くRPAライセンスを仕入れてくれて、導入サポートもしてくれて、というケースもあったりしますが、まだまだRPAが「高嶺の花」になっている企業は少なくありません。

実際、ブームによって期待が先行しすぎたために「全然安くないですね・・・」と言われることも多々あったり。

 

松山市補助金制度のここがイイネ

 

この補助金制度が素晴らしいなと思ったところは2つあり、まずはベンダ側にも協力を仰いで特別プランを用意させていることです。

①WinActorの特別料金プランが設定されている

この特別メニュー、「通常価格で175万円ほどするところを、なんと100万円でご提供!」という通販番組のようなプライスダウンになっています。

  • ・WinActorフル機能版1ライセンス
  • ・50時間導入支援パック
  • ・2カ月有償トライアル(操作研修含む)

www.nttdata.com

製品開発サイド(正確な製造元はNTTアドバンステクノロジ)なのでライセンス費用はいくらでも下げる余地があるのかもしれませんが、50時間のSE支援と操作研修も含まれているんですよね。

ここは人件費に直結するので、ベンダとしてあまり下げたくないところですから、かなり「お勉強」させているなと感じた次第です。

しかも、NTTデータSIerの中でも安易な値下げを好まない印象がありますから。(私の私見ですが・・・)

 

で、値下げ後価格が100万円ですから、今回の補助金の枠をきっちり使い切れるように設計されているんですよね。

175万円相当が、企業側は50万円のキャッシュアウトで利用できるわけですから、使いたくなる人も多いのではないかと思います。

 

②導入支援・保守が考慮されている

前述の通り、とはいえ2桁万円のライセンスって、中小企業にとっては決して安くありません。

大企業にとっては「最悪、失敗しても痛くない」という感覚で始められる側面がありますが、「安くない」という感覚を持っている中小企業にとっては、「失敗できない」という緊張感を持って進めることになります。

 

とはいえRPAなんて新しい概念の製品、独学で進めて行くのは間違いなく不安でしょう。

やってみれば簡単で、という方も多いですが、「失敗できない」という思いのせいで、1歩目の投資判断がとにかく難しくなってしまう。

 

であればプロに協力を依頼したいところだけれど、ライセンスだけでも高いのにこれ以上お金は・・・。という絡み合ったジレンマも、この補助金制度は解決してくれます。

 

①で触れたNTTデータの特別プランにも、しっかり50時間分の導入支援が含まれています。

50時間もプロのサポートがあれば、よほど複雑でなければいくつかの自動化処理を組むことは可能ですから、「50万円の重み」を軽減してくれる、非常に心強いプランです。

企業の担当者さんも、安心して社長に話を持ちかけやすいのではないでしょうか。

 

公的機関によるRPA導入支援の流れ

中小企業向けの「IT導入補助金」という制度は過去から存在していますが、今回のように「RPA」などより細かな分野に特化した制度は、珍しいのではないでしょか。

www.it-hojo.jp

 

そして、このRPAへの補助の流れは、松山市だけではなく、今後追随する自治体も現れてくることは、想像に難くないです。

 

つくば市なんか、市長が「日本一ロボットが活躍する自治体を目指す」って言ってますしね。

今回の松山市の「RPA先進都市まつやまの実現に向けた連携協定」っていう取り組みも、かなり刺激があるんじゃないでしょうか。

(そういえばどっちも、ベンダーはNTTデータですね)

tech.nikkeibp.co.jp

 

今後、自治体として、あるいは今後省庁として、「みんなRPAどんどん使っていこうな!」という号令が活発に出てくれば、今までRPAが行き渡っていなかった企業にも、浸透が進んで行くことが考えられます。

さらにその先は、AIの補助金制度とかも、増えてくるのかもしれませんね。

 

少しだけネガティブな考えを述べると、「どんどんRPA!」という動きは、同時に「どんどん人間のルーチンワークは減らして行こうな!」ということでもあり、やはり仕事を奪われる人は、確実に増えていくのかな、とも思ったりはしています。

もしかしたら、自動化の流れであぶれた(という表現は失礼ですが)労働者をかき集めて、労働集約的な新しいサービスを始める会社というのも、出てくるのでしょうか。